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ブログ / ニュース

Fender JAZZMASTERリフレット

  • 執筆者の写真: nordguitarvault
    nordguitarvault
  • 6月29日
  • 読了時間: 4分

更新日:7月13日

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今回はFender American Vintage '62 JAZZMASTERのリフレットをご紹介します。

まずは状態確認からしていきます。

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新品で購入されてから約20年間弾き込んできたということもあり、フレットがかなり消耗しております。

フレットのすり合わせだと凹みが無くなるまで削るのできし麺のように平らになってしまい、演奏性がかなり落ちてしまいます。

つきましてはリフレットを行って新品のようなフィーリングに戻します。


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フレットを抜く準備をします。

フレットを抜くときはフレットをハンダこてを使用して温めながら抜きます。

温める理由は抜いた時に指板が欠けないようにするためと接着剤が流してある場合に接着剤を柔らかくして抜きやすくするためです。

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くいきりを使用して抜きます。

指板の欠けもほぼ無く綺麗に抜けました。


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指板調整をします。

基本的には真っ直ぐになるように削りますがこちらは6弦側と1弦側で反り方が違うので注意が必要です。

それぞれ削り方を変えて真っ直ぐになるように調整します。

少し削ったら弦を張り、チューニングをして反りを確認します。

この確認作業は削るたびに行います。

ネックの反りは弦のテンションがかかると変わるので確認するときは弦を張り、チューニングを行ってから見るのが1番確実です。

そのため確認に毎回弦を張るため時間がかかりますがこのやり方で行っています。


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指板調整が完了したらフレットタング溝を掘り足します


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フレットの準備をします。

今回はJESCAR #55090 を打ちます。

いわゆる"6105"サイズでしてよくFenderのMaster Buildなどで使われているサイズです。

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フレットを専用の工具を使って指板Rに合わせ曲げます。

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各フレットの長さに合わせてカットします。

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フレットをプレスで打っていきます。

ハンマーで打ったり様々なフレットの打ち方がありますが当店では基本的にはプレスで打ちます。

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フレットが打ち終わったらフレットのすり合わせを行い、仕上げ前にナットを作ります。

ナットに使用する材は様々な種類があります。当店では無漂泊の牛骨を使用します。(お客様から希望があれば指定された材で製作します)

ある程度ナット溝に合わせてRが加工されたナット材ですが都度ギターに合わせて加工し直します。

ナット溝の底面に対してピッタリ付くようにします。

ナットの幅合わせ中
ナットの幅合わせ中
底面、幅が揃いました
底面、幅が揃いました
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ナットは接着前に8,5割ほど完成させます。接着してからだとサイドの磨きや成形、加工がやりずらいからです。

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弦の幅を決めて弦溝を掘ります。

弦間ピッチはギターやプレイヤーに合わせて決めます。

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ナットが完成しました。

弦を切り、ネックを外してフレットの仕上げを行います。

フレットサイド加工前
フレットサイド加工前
フレットサイド加工後
フレットサイド加工後
フレット仕上げ前
フレット仕上げ前
フレット仕上げ後
フレット仕上げ後

フレットは傷を取りつつ磨いていきます。

磨き方が特殊で私が師匠より教えて頂いたやり方で仕上げております。

師匠以外のリペアマンの方で同じ仕上げを行っている方を見たことが無いので珍しいと思われます。

この仕上げ方による効果は素晴らしくチョーキングをした時の弦の食いつきが違います。

作業自体は時間がかかりますが効果が絶大ですので普通のやり方には戻れなくなりました。


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全ての仕上げが完了したら組み込みます。

新しい弦を張り、ナット溝を弦に合わせて最終調整をします。

JAZZMASTERですのでフローティングトレモロとJMブリッジを調整します。フローティングトレモロはアームのロック機能が付いております。このアームロックを調整している人はあまり居ませんが当店ではしっかり調整します。

ロックするように調整するのが基本ではありますがテンション感を調整することができるので今回はロック機能を犠牲にお客様が一番心地よいテンションになるように調整しました。


ブリッジは弦がサドル上面以外に触れないように調整します。

弦高はその弦が周りに触れないようにサドルかブリッジで下げるかを決めます。

その他オクターブ調整などを行ったら完成です。


こちらのAM VIN JMは当時新品で購入されたそうで20年以上弾いてきたとのことです。

American VintageシリーズのコンセプトがPre CBS期のいわゆるVintageと呼ばれているギターを今、新品で購入できるといったコンセプトでした。

Vintageで無くても、しっかり弾き込んでいけばこのJAZZMASTERのようにVintageの持つ経年変化や色気が出てくるんだなと感じました。


ご依頼ありがとうございました。


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